「ワインで有名な国は?」と聞かれた時にワイン大国として代表的なのが「フランス」。
ワインの生産だけでなく消費国としても上位にランクインしており、ワインを語る上では欠かせない存在といえるでしょう。
フランスワインについて知ることで、さらにワインが楽しくなります。
この記事ではソムリエおすすめのフランスワインをご紹介するのはもちろん、さらにフランスワインを楽しめるように基礎知識から歴史までわかりやすくざっくり解説します。
フランスワインの基礎知識
フランスはイタリアに次いで世界第2位のワイン生産国で、ワインの生産量は世界の20%近くを占めています。
その理由のひとつはフランス全体がワイン生産に適した風土と気候になっているため。
恵まれた環境のおかげもあり、フランス各地で有名なワインが数多く醸造されています。
おもなワイン生産地は以下の10箇所です。
- ボルドー
- ブルゴーニュ
- アルザス
- シャンパーニュ
- ロワール
- ジュラ・サヴォワ
- コート・デュ・ローヌ
- プロヴァンス
- ラングドック・ルーション
- 南西地方
どの産地も個性がはっきりしたワインが醸造されており、絶品ぞろいです。
フランスがワイン大国になったきっかけ
フランスでワインが作られるようになったのはローマ皇帝時代にローマ皇帝ジュリアス・シーザーがヨーロッパ侵略のためフランス遠征をした際に、ブドウを植えたことから始まりました。
ブドウの栽培からワインの醸造方法も徐々に広がり、ローマ帝国の遠征先であった「ブルゴーニュ」「シャンパーニュ」「ローヌ」「南西地方」が今でも有名産地になっていきます。
また、ローマ皇帝の国教がキリスト教であり、キリスト教においてワインは「イエスの血」と呼ばれるほど神聖で貴重なものであることもワインが広まった要因と言えるでしょう。
ローマ帝国の歴史とワインの歴史はリンクしているんですよね!なんだかロマンがありますよね〜
フランスワインが「高級」な理由
フランスワイン=高級なイメージがある人も多いかと思います。
お手頃なテーブルワインもあるのですが、高級なイメージが定着したのは「厳格な格付けシステム」があるためです。
1935年から制定されている「AOC(原産地呼称制度)」は生産地、ブドウ品種、栽培方法、アルコール度数、醸造量、収穫量まで厳格に規定しています。
ここまで厳格な「AOC」ができたのは約1929年頃に起きた世界大恐慌。
経済状況が悪化してワイン産業も大打撃を受け、さらにブドウの木が枯れてしまう病気まで流行したことで劣悪ワインや有名ワイナリーの偽造版が流通してしまいます。
この事態を深刻に受け止めたフランス政府は「フランス銘柄ワイン=高品質ワイン」というイメージを守るためにAOCを制定し、そのおかげで今もフランスワインの品質が守られているのです。
フランスワインをお土産にする際の注意点
「ワイン大国」として有名なフランス。旅行の際にはぜひワインをお土産にしたいですよね?
ワインをフランス旅行のお土産にする際には3つの注意点があります。
- まず、飛行機内では100mlまでしか液体の持ち込みができません。なのでワインは「荷物」として持ち帰ることになります。スーツケースに入れなければならないので、梱包材か厚手のタオルなどを事前に用意して割れない対策をしておきましょう。
- 空港内の免税店で購入したワインは機内持ち込みできますが、乗り継ぎをしてしまうと経由地の荷物検査で没収されてしまいます。
免税店でワインを購入する際には「乗り継ぎ」をしなくて良い空港で購入しましょう。 - フランスで購入したワインは「成人1人あたり」3本(750ml)まで免税です。超えると1リットル200円かかってしまいます。
ボトルの破損や没収されたりして後悔しないように気をつけましょう。
フランスワインの代表産地「ボルドー」と「ブルゴーニュ」を解説
フランスワインの有名産地の中で、今回はフランスを代表する2大産地「ボルドー」と「ブルゴーニュ」について解説します。
ボルドー
ボルドーはフランス南西部のワイン生産地で、赤ワインがメインで作られています。
長期熟成型の「メドック地区」がもっとも有名で重厚感のあるしっかりとした味わいです。
ボルドーワインのAOCは「地方名」「地区名」「村名」の順に細かくなっています。
日本で例えるならば「東京」「足立区」「綾瀬」のような表示ですよ!
※私の出身地でたとえてみました(笑)
特徴
ボルドーワインは数種類のブドウ品種をブレンドして造られており、ボトルは「いかり型」が多く採用されています。
理由は「澱」が入らないようにするためです。
「澱」とはタンニンやポリフェノールが結晶化したもので、長期熟成型ワインにはタンニンが多く含まれています。
ボルドーワインにはグラスに注ぐ際、肩の部分に澱がたまる「いかり肩」の形状が好まれたのです。
格付け
ボルドーワインは「シャトー」ごとに格付けされています。
「シャトー」とはブドウ畑を所有、栽培、醸造、瓶詰めまでの製造を行う生産者のことです。
シャトーは直訳すると「お城」。ですが全部がお城で作られているわけではなく、それだけ広大な畑や醸造所が必要なことから「シャトー」を使われるようになったと言われています。
ボルドー地方には格付けがいくつもあり、その中でも有名なのは「メドック格付け」。
メドック地区のシャトー(生産者)で行われる格付けで、特に最高ランクの1級ワイン「5大シャトー」は世界最高峰の高級ワインとして知れ渡っています。
「5大シャトー」は以下の5つです。
- ラフィット・ロートシルト
- ラトゥール
- ムートン・ロートシルト
- マルゴー
- オー・ブリオン
メドック格付けが使われるようになったのは1855年のパリ万博。
当時の皇帝だったナポレオン3世が世界各国の富裕層向けに「どのワインが上質なのか消費者にもわかりやすくしよう」としたのがきっかけです。
そして当時豊かな国であったイギリスがボルドーワインを好んで飲んだことで、ボルドー地方でのワイン産業もさらに豊かになったとされています。
ブルゴーニュ
ブルゴーニュはパリ東南の地域で、地区が縦に長いのが特徴です。
この地方のワインは赤ワインではボルドーワインよりも渋味と呼ばれるタンニンが少なくきれいな酸が印象的で、白ワインではエレガントな荘厳さを表現した味わいが多くなっています。
「ひざまづいて脱帽して飲みなさい」と表現されるほどの世界最高峰白ワイン「モンラッシェ」もブルゴーニュワインです。
ブルゴーニュのAOCは「地方」「地区」「村名」「畑の名前」まで表示。
日本に置き換えると「東京」「足立区」「綾瀬」「武井畑」となります。畑の違いを追い求めるブルゴーニュのワインらしい表記ですよね。
特徴
ブルゴーニュワインはブドウ1種類、単一品種でワインが造られており、おもなブドウ品種は「ピノ・ノワール種」「ガメイ種」「シャルドネ種」などです。
ブルゴーニュのワインボトルは「なで肩」の形状が採用されています。
その理由はボルドーワインに比べて澱が少ないことと、ブルゴーニュでは古くから地下室にワインを貯蔵していたことからボトルを交互にいれられて貯蔵スペースを効率的にできるためです。
格付け
ボルドーでは「シャトー」ごとで格付けされていましたが、ブルゴーニュでは「畑(クリュ)」ごとで格付けされています。
なぜなら、ブルゴーニュでは隣同士の畑でも作り手やちょっとしたテロワールの違いで味や価格が変動してしまうためです。
なのでAOCも畑の名前まで表示されます。
クリュの中でも特級畑を意味する「グランクリュ」、1級畑のプルミエ・クリュは特に人気です。
ソムリエが教える!シチュエーション別おすすめワイン
この章ではソムリエがおすすめするフランスワインをご紹介します。
ただ、おすすめのフランスワインはたくさんありすぎるため、「こんなシチュエーションにこのワインを飲んで欲しい!」といったものをお伝えします。
パーティーのお供に!「シャトーシマール」
シャトーシマールはボルドー地方のサンテミリオン地区のワインです。
豊かな果実味とやわらかなタンニン、キレイな酸味がバランスよく調和した味わいとなっています。
ボルドーの力強さと気品のあるリッチ感はパーティーの手土産にもってこいです!
女性を口説けるほどの美味しさ!「シャトーギロー(ハーフボトル)」
ボルドー地方のソーテルヌ地区で有機栽培された貴腐ワイン。
糖度の高い貴腐ブドウを原料に造られているため、はちみつを思わせるうっとりしてしまう甘さとアンズのような香りとは食後のデザートにぴったり!
食後のデザートにぴったりの1本です。女子受けも抜群なのでデートにもおすすめですよ!
自分へのご褒美に 「マルゴー・デュ・シャトーマルゴー」
このワインは「シャトーマルゴー」のサードラベルです。
シャトーマルゴーは世界でも名声の高いワイン銘柄で、「ワインの女王」とも称されるワインを造る職人が手がけいます。
その美味しさから1級品は100,000円以上。
サードラベルは1等品のシャトーマルゴーでは使えなかったブドウを使い、最高の職人が手がけています。
「ワインの女王」を手がける作り手が造ったワインが13,000円で購入できるのは、とてもお得といえるでしょう。
ちょっとお値段が張りますが、それだけの価値を感じられる1本です。自分へのご褒美におすすめですよ!
まとめ
今回はほんの一部ですが、フランスワインの魅力について解説しました。
2大産地である「ボルドー」はわかりやすく、力強い味わいで「ブルゴーニュ」は比較的に酸が突出した味わいが多くなっています。
ワインを飲み慣れていない人は「ボルドー」から挑戦してみるのがおすすめです。
今回ご紹介した以外にもワイン王国であるフランスにはまだまだ素敵なワインがたくさんあります。
ぜひこの記事を参考に奥深いフランスワインの世界にチャレンジしてみてください。